⑦「法・倫理・商道徳・信仰」:コンプライアンス違反の底流
若い頃に江戸時代(?)の豪商の家訓ということで聞いた言葉です。その後、何度か出典を調べたのですが不明のままです。
・法規は社会が成り立つための最低条件を定めたもので、「これを破ったら罰せられる」「これを破ったら
排斥される」というものですが、社会は「〇〇をしてはいけない」だけで成り立つものではなく、「こう
したほうがいい」という倫理・道徳があってはじめて成り立つ。
・高度な信頼をベースにする商売(ビジネス)には一般的な倫理・道徳よりもさらに高い自己規範(商道徳)
が求められる。
・知りえないことへの畏れ、謹み、謙遜(信仰)を忘れていはならない。
日本古来の家訓としては近江商人の「三方よし」(売り手と買い手がともに満足し、また社会貢献もできるのがよい商売であるという心得)は有名ですね。
「法・倫理・商道徳・信仰」も「三方よし」も「法規を破らなければ何をしてもいい」「法規ギリギリのところで勝負する」という考え方の対極と言えます。「破らなければ」「ギリギリ」は「ちょっとだけなら」「見つからなければ」といった誘惑と隣り合わせにあり、歴史ある名門企業ですら起きるコンプライアンス違反はビジネスを法規ギリギリのところに位置付けている(意図的でないとしても・・・)ことが根底にあるのではないでしょうか。
コンプライアンスの実現には法規を正確に理解し違反が起きない仕組みを整えることが不可欠ですが、それと同時に法規遵守を喚起するだけでなく、より高い自己規範を組織に浸透させることが重要なのではないかと思います。