⑥「失敗を恐れる」「失敗を認める」
私は安易に「失敗を恐れるな」とは言わないことにしています。これを言うのは初心者のトレーニングや「小さな失敗」だけです。
未知のことに挑むには試行錯誤がつきものです。擦り傷やかすり傷を怖がっていては前に進むことはできません。けれども同時に致命的なダメージは避けねばなりません。大怪我を負えば前進どころか再起も危うくなります。「大失敗からの大逆転」というのはあり得ない話ではないでしょうが、再起できたのも、その後に成功できたのも運がよかっただけとも言えます。
致命傷を避けながら試行錯誤を続けるには「上手に小さな失敗をたくさんする」ことが求められます。これは「失敗を恐れない」とは違います。「失敗を恐れる」からこそダメージが小さい段階で「失敗を認める」ことができ、それが次のチャレンジとさらなる失敗に繋がり、それを繰り返すうちにやがて成功を掴むことができるのだと思います。
「失敗を恐れない」無謀なチャレンジの帰結は、大きなダメージと「失敗を認めようとしない」頑迷さです。特に地位の高い人間、経験豊富な人間は過去の成功体験のバイアスが強いため「失敗を認める」のが容易でない場合が少なくありませんし、周囲も失敗と分かっていても口を出せずに放置することがあるので要注意です。
『社長の最大の失敗と、そこからどう立ち直ったかについて教えてください』と聞かれたときに、『致命的な失敗をしていたら今、この場にはいませんよ』と言いながら上記のようなことを話してきました。
また、それに加えて、「不作為の後悔」の話をしてきました。「やればよかった」という後悔は心の棘として長く痛みが残るものです。不作為こそが最大の失敗と呼ぶべきものなのかもしれません。