経営学の黎明期には、徒弟制度から非熟練労働者による分業への移行の中で、いかにして作業の効率を上げるかが焦点でした。今よりも企業の規模も小さく、企業=工場というのが一般的でした。
経営学の「父」というと、この「考房」で最初に紹介したアンリ・ファヨールとともに、フレデリック・テイラーが有名です(というか、テイラーの方が圧倒的に有名でしょうね)。ファヨールがマネジメント・プロセス(経営管理プロセス)に注目したのに対して、テイラーは作業効率を上げるための科学的アプローチ(科学的管理法)を研究し、テイラーの動作研究、時間研究は今日の製造管理の礎となりました。
黎明期の経営学への最初の批判は「人間は機械ではない、感情を無視した管理は能率を低下させる」(人間関係論)というもので、非公式組織の研究や作業環境改善の実験が進められました。、現在でも、人間関係論に基づく労務施策として、労使協議会、職場懇談会、提案制度、カウンセリング制度などが実施されています。
人間関係論に対して「人間の行動動機こそが業務効率を左右する」という批判をしたのが行動科学の諸研究です。従業員の感情に配慮し不快な職場環境を是正しても、命令・強制に基づく業務の効率改善は限定的だという実証実験結果をもとに、人間の持つ高次の欲求を満たすべく動機付けを行い、行動の自発性・自主性を引き出すことによってこそ効率は改善すると主張したのです。近年、当たり前のように語られる「目標による管理」「自己実現」といった考え方は行動科学に基づくものです。
下図は上記の流れを整理したものです。